きみたちはどう投資するか?(鵺編) 幾何ブラウン運動で未来シミュレーション! 自分の「投資道(とうしみち)」を見出そう!

前回までの記事で筆者(midori)は「最強のインデックス投資法とは?」とか「マイナス5%ルールの弱点とその克服」みたいなことを考えてきました。そして一括投資も分割投資もインデックス投資法には一長一短あるので状況をみて色々やってこーという鵺(ぬえ)みたいな結論に至りました。鵺(ぬえ)とは日本の古典に出てくるキメラみたいな怪物のことです。夜な夜な宮城に現れては主上を悩ませ奉らんとするゆえ、源三位頼政殿によって成敗されたのであります。頼政殿は教養高く武勇誉高くかっこいいのです。私も文武両道鵺みたく積み立て投資しつつ一括投資的なことやってこーおー、というわけです。

いや、しかし、ちょっと待ってほしい!(セルフツッコミ) 鵺とか頼政殿とかどうでもいいよ! 鵺じゃあ自分の行動を意思決定する指針を示したことにはならないですよね? これじゃあ行き当たりばったりじゃあないですか?!(セルフツッコミ)

私は自分の投資の道を見出したい。道を進むために必要なものは何か? それは地図です。自分の投資する先に何が起こるのか? 何が待っているのか? それを知りたいと思いました。そのために、「SP500に投資した時に得られる利益は何で決まるのか?」について、も少し解像度をあげるべく、色々と調べてみました。そして、その後に、さまざまに考えられる未来のパターン毎に、幾何ブラウン運動法で投資シミュレーション行ってみました。SP500と為替の将来とりうるパターン毎の投資利益シミュレーションです。

本記事はそれを経て見出した私(midori)の投資方針について記録に残すものです。

結局、S&P500に投資したときの投資利益は何によって決まるんですか?

A. 為替とSP500のインデックスの値動きです。

なんでそう言えるのか。EMAXIS SLIM S&P500のお値段をプロットしてみました(ちょいごちゃっとしてますが)。ここに円ドルレートの為替とS&Pと円ドルxS&Pのお値段をプロットしてみます。emaxis_slimのお値段は「SP500の値段」とドル円為替レートから計算したライン(calcurated_from_forex_and_sp500)と連動しています。

より正確には、以下の定数を用いて割り算をしています。年による定数項で為替とSP500のスコアを割っています。その定数とは、2024年からは27、2023年からは28、2021年からは27、それ以前は30です(この定数項の意味するところはよくわからないです)。

とはいえ、eMAXIS slim S&P500の値段を決める変数が「SP500のスコア」と「円ドルの為替レート」であるようです。主な変数はこの2つなのです。

SP500のみではなく、為替の影響を受けるということです(eMAXIS slim S&P500の目論見書にもそのように書いてあります)。例えば、2022の初頭にSP500は4500を超えたあたりですが、為替が115円と今に比べれば円高だったので、eMAXISのお値段は2万円をきっております。時は変わって2024年の初頭、SP500は4500なのですが、この時は為替が1ドル140円と円安にふれており、eMAXISのお値段は2万5千円と2022年よりも25%も向上しております。円高のときのほうが同じお金でたくさん買えるということです。

eMAXIS slim S&P500を買う時は円高がいいですし、売る時は、円安(ドル円が高い方がいい、upがいい。downはだめ)がいいということです。

15年後の未来を想像してみます(投資益を幾何ブラウン運動でシミュレート)

(こっから先は完全な個人の想像の世界なので、読者におかれましては、戯言の一種としてお読みください)

eMAXIS Slim S&P500の価値を決めるのは為替とSP500のスコアだということはわかりました。

今現在(2025-07-06)のSP500は6200付近にあります。これが12400になれば(為替を度外視すれば)投資益は2倍です

一方、2022年に一気に円安が進みました。2025年現在140~160円で推移しています。これが、再び100~120円とかいう円高の方向に推移するか? それとも200円とかになるのかが私たちの投資利益に影響してきます。買う時は円高がいいし、売る時は円安がいいです(2回目)。

未来のことは誰にも分かりません。ですが、EMAXIS SLIM S&P500による利益は、SP500と為替レートの2つで決まるのですから、その上がり下がりのパターンでもってありうる結末をシミュレーションできるということです。いい未来も、悪い未来も、あらかじめ予想しておくことができる、ということです。

米国の株価はおそらく今後も右肩上がりでしょう。そもそもインデックス投資はそれが前提です。右肩下がりに下がっちゃったら目論みの全てが破綻するのです。為替は予測困難です。2019年の為替予想記事を読んだのですが、1ドル100円とか書いてあって、為替の予想は難しいんだなと思いました。

しかし、自分が投入するお金が、どんなメカニズムでどうなるか、それを知らないでを投資することなどできようか?とも思うのです 株価は右肩上がりだからきっと儲かるみたいなふわふわした理解で泣きながらした残業で稼いだ虎の子の数百万を投資することなどできません。私は小心者なのです。何がどうなると自分のお金がどうなるのか? それは把握して覚悟しておきたいのです。

お言葉ながら父上 「感傷」ですと…!それは違います

オレは「納得」したいだけだ

マルコが本当に処刑されなくてはならないのか?!

ジョニィが見つけたがっている「遺体」とは何者なのか?

納得」は全てに優先するぜッ‼

でないとオレは「前」へ進めねえッ!「どこへ」も!「未来」への道も!探すことは出来ねえッ‼
(SBR、荒木飛呂彦著作、ジャイロ・ツェペリの台詞)

悪い出来事の未来も知る事は「絶望」だと思うだろうが逆だッ!

明日「死ぬ」とわかっていても「覚悟」があるから幸福なんだ!

(ストーンオーシャン、荒木飛呂彦著作、プッチ神父の台詞)

私は自分の行った投資の結末に納得したいのです。そして、S&P500へ投資した際の利益はスコアと為替の変動できまる、というわけで、このスコアと為替の将来パターンをあらかじめ用意してシミュレーションし、SP500へ投資した際の未来をパターンごとにみてみることします。あらかじめに何が起きそうなのか覚悟を決めておきたいのです。

未来は今後15年先をSP500と円ドル相場の推移として考えます。

SP500の未来

今後15年のSP500の値動きパターンを「右肩上がり」、「右肩下り」、「上がって下がる」、「下がって上がる」で準備しました。

パターン名記号内容予想確度
右肩上がりsp500_up後も米国企業への投資が集まって SP500は今後15年で3倍近い17500を超えて上昇するという未来です。これが一番ありうる未来かと思います。
上がって下がってsp500_inverse_v今後も米国企業への投資が集まって SP500は今後10年で2倍の12000に迫って上昇するのですが、その後は米国がつまづいちゃって値を下げてしまうというものです。7000ぐらいになります。2番目ぐらいにありうる未来かと思います。
下がって上がってsp500_v米国が近々つまづいてSP500の値段が下がるんだけど、その後、Vの字で回復して値を7000ぐらいに戻すというものです。可能性としてはそんなに高くないと思います。
右肩下りsp500_down米国が何らかの要因でつまづいちゃって投資が逃げていってしまい、SP500が今後15年で3000より下げちゃうという未来です。可能性としては低いように思います。

グラフにすると以下です。

2025年からスタートしてたどりつく様々なSP500の未来の図

為替の未来パターン

今後15年の円ドルの為替レートの推移パターンを3パターン用意しました。「右肩上がり」、「右肩下がり」、「あまり変わらない」です。

パターン名記号内容予想確度
右肩上がりforex_up1ドル200円を超えてく円安の未来です。日本が少子化で衰退して米国は元気だったりする未来だとこうなるのかな?確度はわかりません。
右肩下りforex_down1ドル100円とかになるような円高の未来です。基軸通貨としてのドルが衰え、相対的に円が強くなるとこうなるのかな?確度はわかりません。
あまり変わらないforex_same今のような1ドル150円ぐらいな相場が上げ下げあっても続いているという未来です。確度はわかりません。
円ドルの為替レートの未来を3パターンでシミュレートしてみました

為替に関しては両国の中央銀行の金利制作次第でも円高~円安にふれそうです。私には全く読めません。

SP500スコアと為替の未来シミュレーションのグラフの書く方法の補足(幾何ブラウン運動)

上記のパターンのグラフはpythonプログラムで人工的に生成して描画しています。例えば、右肩上がりの基準線を引いて、幾何ブラウン運動(GBM)で生成したノイズを乗っけます。幾何ブラウン運動については以下をご参照ください。金融シミュレーションの定番の手法みたいです。

幾何ブラウン運動(Wikipedia)

【金融工学】日経平均株価に対する幾何ブラウン運動のフィッティング
https://qiita.com/y-yamamoto-snt/items/bd12300e156dddcd0912

ChatGPTさんに株価シミュレーションをpythonで描きたいと言いますと、幾何ブラウン運動によるpythonコードをおすすめされましたので、そちらを流用&修正して用いています(詳細はまた別の記事にします)。

今日、SP500に1000万投資したら、15年後の投資益はどうなるのか?

上記の人工的なSP500と為替レートのシミュレーションデータを用いて、SP500に投資した場合の15年後の投資利益をシミュレートしてみます。投資シミュレーションのスペックについては、前回までの記事をご参照ください。1000万の資金を15年投資します。

投資手法内容
lump 今日1000万をぽんと投資する漢の生き様。利益には20%の税金が引かれます。
yearfirst 年初一括240万投資勢。NISAの成長投資枠を想定。
split60000月々6万円を分割投資。NISAの積み立て枠を想定。

未来シミュレーションでは、騰落率を現実と同様の設定で制御することが難しそうだったので、マイナス5%ルールのことは考えません。2025年の7月から投資開始して、2040年の12月に投資終了する場合(30パターンほど)の利益を平均をとっています。

15年後の為替が円安の場合、

実験設定sp500_down-forex_upsp500_inverse_v-forex_ups500_v-forex_up
sp500_up-forex_up
lump-31724495047168509877429151841
yearfirst-191266353276661454811627756339
split60000-3008788-903731640065410549584

15年後の為替が今と同じくらいの場合、

実験設定sp500_down-forex_samesp500_inverse_v-forex_sames500_v-forex_samesp500_up-forex_same
lump-540133113495816971716370560
yearfirst-4278475810526746874516597705
split60000-4342273-2194875111789235792410

15年後の為替が円高の場合、

実験設定sp500_down-forex_downsp500_inverse_v-forex_downs500_v-forex_downsp500_up-forex_down
lump-6902585-3173640-31502287761782
yearfirst-5948257-236804224430418754845
split60000-5364531-377446371347562268854

未来シミュレーションで何が見えてきたか?

私(midori)が上記の未来シミュレーションで感じたことは以下のごとしです。


将来が今よりドルUP方向だと(円安だと)利益がBoostします。でも、SP500のスコアが半減する未来だと為替がどうなろうと投資利益は全パターンで無事死亡です

株価が下がっていきその後、値を戻す場合は、積み立て投資がよいですね。投資益は下がった時に買い、上がってから売ることで生じるので、下がるタイミングで買える積み立て投資が有利な局面です。この現象はたぱぞうさんの本でも紹介されておりましたね。

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逆に、上がった後で下がると、積み立て投資は高値塚みをしてしまうので、利益は出せないことになります。SP500が上がれば、積み立てだろうと一括だろうと利益は得られます。

おそらくですが、私(midori)にはSP500は今後は「右肩上がり」または「あがって下がって」のパターンになると思われます。米国のAI技術でシンギュラリティとか起こせそうな気がするのです。米国企業はまだ伸びそうな気がするのです。なので、投資利益を考えると、一括投資や年初一括がよさそううに思えます。しかし、私は一括投資を躊躇してしまいます。理由は、メンタル面でして、

・明日から下がるかもしれない(恐怖)
・下がった時に投資したほうがもうかるやん(強欲)

あたりでしょうか。株価の下落の恐怖にプルプル怯えつつも、もっと儲けたいと欲張るとか人間とは本当に度し難いな、と思います。

騰落に怯え、かつ、より儲けたいというよく深い、人間の度し難いありさま(同一人物)

では私はどうするの? midoriの投資道

最初に守りを固め、しかるのちに攻める。これ兵法の基本です。まずは、安全資産とリスク資産の割合を決めることが大事だと思います。リスクある状態で置いておく資産、定期預金などで固めておく安全資産の割合ですね。

例えば、1000万円あるとする(手に入る見込みだとする)と、このうち500万は生活防衛資金や逃亡資金に保持しておきます。残りの500万円を投資の運用に回します。利益を求めるのであれば、なるはやで全額SP500などの投資信託を買ったらいいのかもしれません。しかし、即時全額投入は、私は小心者なので、全額即時一括投資とかは、ようやりません。


なので、私(midori)は長嶋監督の松井秀喜の育成計画が1000日だった故事にならい、この500万円を1000日で投資に使い切るとします。期限を定めて分割投資です。現時点のSP500の上昇ペースは急速で、私(midori)の予想ですが、米国のAIの進歩に合わせて、今後も伸びていくでしょう(その先は知りません)。なので、まとまったお金があった場合、早めにお金をSP500に変えておくのが得策です。バスに乗り遅れるな(フラグ)、というわけです。でも、即時一括入金はしないし、投資タイミングもはかります(一般的には悪手とされています)。私は小心者かつ強欲な困ったさんだからです。人は己の心の性格からは…逃れられない…克服すべきでもない…その癖をもっとだして走るしかないように思います。

以上より、midoriのインデックス投資方針を以下に定めます(2025年7月)

NISAの積み立て枠
 積み立て月々3万~5万円を設定。PERがお得だったり、下落が続くようなら10万円に増額します(日和見)。年平均で60万をつっこみます。

NISA成長投資枠
 目標は1年に240万枠を使い切る!です。年初一括投資マンになるのもいいかもなのですが、私(midori)は小心者ゆえそれは無理なのです。なので、期限つきでマイナス5%ルールの発動をまちます。発動するなら一括100万ぐらいでどんと資金を投入します。発動しないなら、半年に一回、25~50万程度の中規模の「置き金」をしておきます。米国AI相場が続いてSP500が伸びて、あとで「もっと買っときゃよかった〜(泣)」ってならないようにです。・

「2025年の置き金方針」:2025年は4月にトランプショックがあったからマイナス5%ルールで100万円ほど一括投資をしています。なので、下期に機会がなければ2025年まとめ記事を書いている時に「置き金」の一括投資をしようかと思います。

その他:使いきれなくてもよしとしましょう。無理して投資しません。こまけぇこたぁいいんだよ(AA略)です。

以上、色々調べて、シミュレーションして、プログラムを書いて数字をながめて、自分の進むべき道がクリアになったような気がします。とりあえず、自分のインデックス投資方針はこのように定まりました。あとは、方針を試してみて、己の行動の結果をみてみたいと思います。そんときにお金が半分になっていたとしても、まあいいか、です。本記事が読者のみなさまの投資指針決定にも寄与することができれば嬉しいです。(おわり)

荒野をゆく鵺と源三位頼政殿の図(ChatGPTにより生成)。弓とか色々おかしい。でも、この生成AIの先に未来はあるような気がしています。

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